筋トレとアルコール

皆さん!マッスル・ボディを目指して、日々筋トレに励んでいますか? 

筋トレやジョギングで汗を流したあとのビールは最高に美味しいものです。至福のときだと言っても過言ではありませんよね。

自分に課したトレーニングやエクササイズをやり遂げ、得も言えぬ達成感に浸りながら、自分へのご褒美に、という気持ちでビールや酎ハイなどのアルコールでググッと喉を潤す。

未成年には出来ない、大人のトレーニーだけに許される特権です。

でも、そのアルコール、

実はあなたのトレーニングを台無しにしているのかも知れません!

「い・・いや~、それだけは聞きたくなかった!」

と耳を塞いでしまったお酒好きのトレーニーの皆さんもいるかも知れませんが、事実は事実として受け止めておきましょう。

1,アルコールは体内でどのように処理されるのか

アルコールはヒトの身体にとっては「異物」であり、一刻でも早く体外へ排出しようとする働きが体内で繰り広げられます。

アルコールは体内に入ると、胃で約20%、小腸で約80%吸収され血液に乗って肝臓へと運ばれます。肝臓ではアルコールの分解が始まりますが、処理が追いつかないものは脳や全身にまわり、いわゆる酔っ払った状態になります。

アルコールは肝臓で「アセトアルデヒド」と呼ばれる成分に分解されます。ちなみに、お酒を飲むと顔が赤くなったり、動悸や吐き気、頭痛を引き起こしたりしますが、このアセトアルデヒドが原因です。

アセトアルデヒドは肝臓の代謝酵素により「酢酸」に分解されます。酢酸は人体にとっては無害で、血液に乗って全身を巡るうちに水と炭酸ガスに分解され、やがて尿や汗、呼気となって体外へ排出されます。

このように体内に、異物であるアルコールが入ると、ヒトの身体(主に肝臓)は一刻も早く体外に排出しようとフル稼働し、多くのエネルギーや、筋肉に届くべき栄養素を浪費してしまうことになるのです。

2,アルコールがもたらす悪影響とは

悪影響その①

コルチゾール分泌によるテストステロン分泌阻止、そして筋肉分解

アルコールから生成されたアセトアルデヒドは副腎皮質に「コルチゾール」というホルモンの分泌を促します。

コルチゾールはストレスを受けた時に分泌が増えることから「ストレスホルモン」の異名を持っており、筋トレに欠かせないホルモンである「テストステロン」の分泌を妨げる働きがあります。

テストステロンはこちら(リンク)で詳しく述べてますが、筋肉の増加作用がある、マッスルボディを目指すトレーニーにとっては大事なホルモンです。

しかもコルチゾールは筋肉を分解し、脂肪の蓄積を促す働きがあるのです。

アルコールを摂取することによって分泌されるコルチゾールは、筋肉の生成を促すテストステロンの分泌を阻害し、しかも筋肉を分解するという、我々トレーニーにとっては歓迎できないホルモンなのです。

悪影響その②

筋タンパク質を分解する

筋肉の量は、筋タンパク質の合成作用と分解作用のバランスによって決まります。

トレーニング後にタンパク質を補給すると筋タンパク質の合成作用が活発化し、筋肥大を生じさせます。

ところがトレーニング後にアルコールを摂取すると、高まるはずの筋タンパク質の合成作用が抑制されてしまいます。

そしてアルコールの摂取は「オートファジー」と呼ばれる仕組みをも呼び込んでしまいます。

「オートファジー」とは、細胞内に過剰なタンパク質の蓄積を防ぐためにタンパク質を体内でリサイクルしバランスを保つ、「自食作用」とも呼ばれる仕組みです。

トレーニング後のアルコール摂取は、このオートファジー作用を活性化させ、筋タンパク質の分解作用を活性化させているのです。

これではせっかくトレーニングしても、アルコールを摂取することで苦労が台無しになってしまいます。

2014年のオーストラリア・RMIT大学での実験によると、筋トレ後にプロテインを補給した場合の筋タンパク質合成率を100とすると、その後に飲酒した場合、なんと24%も減少したそうです。

ちなみに筋トレ後にプロテインを補給しないで炭水化物のみで飲酒した場合、37%も筋タンパク質合成率の減少が認められたそうです。

マッスル・ボディを目指して一生懸命トレーニングし、その後のゴールデンタイムにプロテインを摂取して筋肥大に精一杯の配慮をしていても、自分へのご褒美と称してすぐにアルコールを飲んでしまうと24%もの筋タンパク質の合成をみすみすドブに捨てていることになります。

悪影響その③

体脂肪増加につながる

そしてお酒を飲む時には、ついつい料理やおつまみ等も多めに摂取してしまうものですが、お酒がすすむ料理やおつまみには糖質や脂質、塩分が多く含まれています。

一方、アルコールはカラダにとって「異物」です。

その異物を排出するのに大変な労力をカラダに課していることは前述のとおりですが、飲酒によってもたらされたアルコールを分解することに集中してしまい、食事からもたらされたエネルギーの分解が滞り、余計なエネルギーが蓄積され、体脂肪となってポッコリお腹へと繋がっていくのです

3,アルコールとの賢い付き合い方

筋トレを頑張っているトレーニーにとって、アルコールがよろしくないってことはわかりましたが、それでは一切のアルコールを摂ってはいけないのでしょうか?

いえいえ、適度のアルコールは気持ちをリラックスさせる効果もあり、一概に否定はできません。上手く付き合えば肉体的にも精神的にもプラスになり得るのです。

また、どうしてもトレーニング後にお酒が飲みたい!という方や、お付き合いで飲む機会があるのでどうしたら良いかわからない、という方もいらっしゃると思います。

そこで、マッスルボディを目指して筋トレをしているトレーニーのために、アルコールと賢く付き合う方法を紹介します。

付き合い方その①

ビールはやめて、蒸留酒にする

トレーニング後はビールをグビグビ行きたいところですが、ビールや日本酒などの醸造酒には糖質が含まれているためお勧めできません。

ウイスキーや焼酎などの蒸留酒がおすすめです。もちろん、コーク・ハイや酎ハイは余計な糖質が多く含まれていますので控えましょう。

付き合い方その②

つまみや料理は低カロリーなものを選択する

お酒を飲むと美味しい料理やおつまみが欲しくなるものです。

ついつい揚げ物や味の濃いものを選びがちですが、糖質や脂質、塩分がたっぷり含まれているため体内で処理できず体脂肪として蓄積されてしまいます。

<避けたほうが良いメニュー 一例>

・フライドポテト

・鶏の唐揚げ

・ピザ等

・揚げ物

<お勧めメニュー 一例>

・  サラダ

・枝豆、冷奴

・ねぎま、レバーなど焼き鳥

・タコ、イカ

もちろん鶏肉は本来、高タンパク・低カロリーなので調理の仕方によっては我々トレーニーにもオススメなのは言うまでもありません。

付き合い方その③

摂取量にも気をつけよう

何と言っても一番考えなければ行けないのが、アルコールの摂取量です。

アルコールも少量なら「酒は百薬の長」と言われるくらいですが、多すぎるとカラダに大きな負担を掛けてしまうのは常識ですね。

付き合い方その④

トレーニーには基本的に飲酒はNG、でもたまにはご褒美を

マッスルボディを目指すなら、基本的に、飲酒は避けたほうが良いでしょう。

とはいっても、仕事が終わった後の飲酒は人生を豊かに過ごす上でも「潤滑油」とも言える存在です。

仲間とのお付き合いもあるし、何と言っても日頃頑張っている自分へのご褒美としてお酒を飲む日があっても全然いいと思います。ボディビルの大会を目指そうという人なら別ですが。

そこでお勧めするのは、筋トレと飲酒日をきっちり分けることだと思います。

・ 筋トレに行った日は、酒は飲まない

・アルコールが残っている日は筋トレをしない

こうすれば筋トレ効果の維持とアルコール摂取というご褒美を両立させることができます。

4,まとめ

★アルコールを摂取することによって分泌されるコルチゾールは、筋肉の生成を促すテストステロンの分泌を阻害し、しかも筋肉を分解する

アルコールは筋タンパク質の合成作用を阻害する

本気でボディビルを目指すならアルコールを断つべき!

★筋トレとアルコール飲酒を両立したいなら、きっちりとON/OFFを決める